「スーホの白い馬」は小学2年生の教科書にも採用され、皆さん馴染みがありますが、スーフの白い馬?スーフ?はスーホと何が違うんでしょう?モンゴルではスーホの白い馬は有名ではないようですので、調べてみます。
[voice icon=”https://bluesea007.com/wp-content/uploads/2022/10/yuru_PC.png” name=”なっさん” type=”l”]「スーホの白い馬」で言いなれてるから「スーフ」ってなんとなく馴染まないですね・・・[/voice]
「スーホの白い馬」と「スーフの白い馬」の違いは?
「スーホ」と「スーフ」の違いや成り立ちは?
実は「スーホ」も「スーフ」も同じ意味で、「斧」を表す人名を指します。
国によって発音が違いますが、もともとは「スフ・スヘ」と読み、間の伸ばす音は入りません。ルーツをまとめてみるとよく分かります。
国名 | 表記・発音の違い |
ロシア | 「shkh」=「スホ・スフ」ホとフの間のような発音 |
モンゴル | 「suhe」=「スヘ・スフ」ヘとフの間のような発音 |
中国 | 「蘇和」=「スーフェ゛ァ」間を伸ばす音が入る |
日本 | 中国の発音「スーフェ゛ァ」→カタカナ表記「スーホ」「スーフ」 |
中国語の「蘇和=スーフェ゛ァ」が日本の発音になったときに、どういったカタカナ表記にするのか?
その中国語の聞こえ方の違いが「スーホ」と「スーフ」なのですね。
[voice icon=”https://bluesea007.com/wp-content/uploads/2022/10/cat_01.png” name=”ねこ” type=”r”]中国語の聞こえ方の違いだったんだね![/voice]
[voice icon=”https://bluesea007.com/wp-content/uploads/2022/10/yuru_PC.png” name=”なっさん” type=”l”]そうね!でも「スー」って伸ばす音が入ったおかげで、モンゴルでは通じない発音になってしまったんだよ。矛盾してるね。[/voice]
絵本「スーホの白い馬」と「スーフの白い馬」の違いは?
物語の内容や伝えたいことは同じですが、ページ数違うことから分かるように、文字数は「スーホの白い馬」の方が多いです。絵のタッチが柔らかく、文字数が少なくなったのが「スーフの白い馬」です。
出版社も違いますし、発売された年代が全く違います。
スーホの白い馬 | スーフの白い馬 | |
出版社 | 福音館書店 | 金の星社 |
作者 文・絵 | 文 大塚勇三
絵 赤羽末吉氏 |
文・絵 いもとようこ |
価格 | ¥1540 | ¥1650 |
ページ数 | 48ページ | 40ページ |
サイズ | 23×31 | 28.6×28.6 |
発売日 | 初発行:1961年10月号(こどものとも)「スーホのしろいうま」
大判絵本:1967年10月1日(日本傑作絵本)「スーホの白い馬」 |
2012年5月7日 |
小学2年生の国語の教科書に必ず載っていたのですが、最近は違うみたいです。
スーホの白い馬は教科書に現在も載ってる?2年生の教科書に採用されない理由は?
「スーホの白い馬」はモンゴルでは有名ではない?
原作はモンゴル民話なのに?
「スーホの白い馬」には、原作であるモンゴルの民話があります。それを中国の学者が中国の情勢を加えて編集しました。
その中国の学者が編集した物語を大塚勇三が再度編集したものが「スーホの白い馬」なので、もともとの民話の再々編集したお話になります。
原作から順番にまとめていきます。
【原作】
モンゴルの民話 「フフー・ナムジル」 |
主人公の若者「フフー・ナムジル」が妻以外の人を好きになる。その彼女から翼が生えた馬をプレゼントしてもらった。
妻がそれを怒り、翼が生えた馬を●してしまう。若者は彼女を思い、その馬の骨から馬頭琴を作るおはなしです。 |
【原作を編集】1956年
中国の民話集 「馬頭琴」 |
中国の毛沢東を崇拝を強める物語になっており、中国の階級闘争を強調した内容です。支配者を悪人にし、革命の士気を高める目的があります。
「馬頭琴」には狼が登場し、王様をとても残酷に描写することで、読者に支配者への嫌悪感を抱かせるのが目的のものがたりです。
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【馬頭琴を再編集】1961年
「スーホの白い馬」 |
大塚勇三は、「馬頭琴」を子ども向けに編集しようとしました。編集の際に狼の凶暴な表現や、王様の残酷な描写を極力省き「スーホの白い馬」執筆したのです。 |
「スーホの白い馬」はモンゴルでは有名ではない?
モンゴルの原作と「スーホの白い馬」の物語の主旨が全く違います。
中国の学者が編集した際に、中国が建国した直後「中国共産党」体制の「階級闘争」のメッセージが強く入っていることです。
モンゴル人からすると、違和感というか、あり得ない表現がたくさん使われています。
■モンゴル人から見た「スーホの白い馬」の違和感とは?
1,モンゴル人は、相手が悪人であっても馬を攻撃することはしない。
2,万が一、馬が弓矢で傷ついた場合は、傷口を手当てをし治療する。
3,モンゴルの騎馬民族は、自由に場所を選んで生活するため、階級闘争とは無縁である。
まとめ
「スーホの白い馬」と「スーフの白い馬」の違いをまとめました。国ごとの発音の聞こえ方の違いでした。
「スーホの白い馬」がモンゴルでは有名ではない理由をしらべました。「馬頭琴」は中国で作られた創作民話で、それを柔らかく編集したのが「スーホの白い馬」です。原作民話のモンゴル人とは全く感覚が違うことがよく分かりますね。